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補綴治療を行うための基本8ヶ月コース概要

歯科医療の目的は歯列の再建と保全を通して顎口腔系の機能維持を図ることです。QOLの向上における顎口腔系の果たす役割は大きく、維持する機能として咀嚼、嚥下、呼吸、発音、感覚、審美、姿勢維持などが挙げられます。

医療において、歯科は患者さん一人一人に適した治療を行い、先に述べた顎口腔系の機能を回復することで多くの患者さんの人生の満足度を引き上げることが出来る、医科と並ぶ非常に大きな意義のある領域です。

歯科の二大疾患である齲蝕と歯周病は、近年劇的に減少傾向にあります。これはあたかも歯科が発展し尽くしたことを物語っているかのようです。しかしそんな中でも、実は患者さんの顎口腔系に最適とは言えない補綴治療がなされている場合がほとんどです。齲蝕と歯周病、そして審美への対応を中心とする従来の歯科医療は、本来の歯科医療の一部分に過ぎないということなのです。

近年の研究から、顎口腔系が全身へ及ぼす影響は極めて大きいことが示されており、本来の歯科医療とは患者さん一人一人の顎口腔系のトータルな調和を図ることに他なりません。

歯科医療人に求められていることは、まず治療に必要な顎口腔系諸組織の診断が的確に出来ることです。治療方針を立てるためには診断がなければ成り立ちません。診断のためには人体の構造と機能の十分な理解が必須となります。しかし、その診断と治療の基準となる顎口腔系の基本的重要事項の多くを、私達は学校教育の中では教わりませんでした。そして、顎口腔系に関する的確な診断なく、ほとんどで不確実な歯列再建が行われていたということです。

基本8ヶ月コースで歯科治療の基準となる機能解剖から始まり、4次元MRI、3次元顎運動解析装置、客観的咀嚼機能評価、などの最新の科学的研究を根拠として、生きている生体の顎口腔系を詳細に理解します。この基本的な重要事項を理解することにより、臨床で有効な筋・顎関節の触診や、顎運動の診査・診断、女性でも容易に行える改良型マニュピレーション・テクニック、顎関節症の的確な診断と治療方針、安全な顎位・咬合の設定基準、各補綴装置による顎機能と調和した最適な歯列再建へとつながります。このように臨床に即した診断と治療の基準を明確にすることで、顎機能と調和した安全で的確な歯科治療が可能となります。

この8ヶ月コースを全回受講することが、本学会に入会する際の必須の条件となっております。また、平成23年度より、多数のご要望にお応えし、新たな試みとして歯科衛生士のご受講もお受けすることに致しました。歯科医師と協働した歯周組織の管理の上でも、炎症や力のコントロールに関する知識を身につけておくことは非常に有効です。本年度は歯科衛生士の受講初年度のため、優待受講費の設定を致しました。是非この機会をご活用下さい。

歯科医療は人の健康長寿に大きく貢献することが出来ます。ここでは、アンダーグラジュエート教育では教わることがなく、補綴治療を的確に行なっていくうえで認識しておかなければならない重要事項を厳選し、明日から臨床の現場に活かせるように毎回実習も含めて歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士が共に学びます。本当に人の役に立ち、楽しく自信と誇りを持って明日からの仕事に臨みましょう。

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