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臨床歯科補綴用語集
「アー」発音時における可動部の最前方を指す。口蓋の可動部と不動部との境界線である。一般には、上顎の義歯床後縁を設定するための基準として利用される。本学会で推奨する義歯床後縁はさらに前方としている。
RPIクラスプ(アールピーアイクラスプ)
近心レスト(Rest),隣接面板(Proximal Plate),I バー(I Bar)から構成される支台装置。本学会では3者間でより確実な拮抗が可能となる設定基準を設けている。
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Eichnerの分類(アイヒナーノブンルイ)
歯の欠損状態による分類法の1つ。上下顎の左右 大・小臼歯群による4つの咬合支持域の残存状態による分類法で、咬頭嵌合位の安定性や、咬合支持能力の度合いを示している。
アブフラクション
歯に加わった外力により、歯が撓んで歯頚部に応力が集中し、歯質のマイクロフラクチャーが生じる。長期経過の中でこれを繰り返して生じた、表面が滑沢な楔状欠損。
安静空隙(アンセイクウゲキ)
下顎安静位における上下顎の歯列間距離.その値は正常者において前歯部で 2~3 mm である.咬合高径決定の目安となる。
アンテリアバンド
関節円板の前方の厚みが大きい部分。円板を顆頭上に適切に位置づけ、円板の後方転位を防ぐとともに、骨の弱い部分への力の集中を防いでいる。前方肥厚部とも。
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側方運動時に平衡側顆頭が中心位から動き始めてすぐに横ズレするように内方に移動すること。0~3mm程度とされている。イミディエイトサイドシフトが大きくなると、臼歯部に咬頭干渉が生じやすくなる。プロアーチ咬合器のⅣ型にはこのイミディエイトサイドシフトの調節機構が備わっている。
インターメディエイトバンド
関節円板の中央部の厚みが小さい部分。円板を顆頭上に適切に位置づけ、力を均一に配分している。中央狭窄部とも。
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歯肉溝内から歯頸部側 1/3までの歯冠のカントゥアなどの形態。
エロージョン
顎関節症Ⅳ型に認められる下顎頭の変形の一種で、下顎頭に認められる骨吸収。
エングラム
中心咬合位へ噛み込む際に僅かな早期接触が存在すると、生体はこれを避けるように閉口筋と同時に開口筋も使い下顎を変位させるように構成される顎運動パターン。これにより下顎が3次元的に変位し、顆頭が後上方に押し込まれる。アボイダンスパターン、プログラミングとも。
たとえば上顎左側犬歯にセラミッククラウンを試し患者水平位の状態で咬合調整を行った場合、下顎は健常者でも水平位では通常 800μm 以上後方へ偏位するので、咬合調整後に患者坐位の状態にすると、上顎左側犬歯に著明な早期接触が生じる(A)。この早期接触をそのまま放置すると、その後の経過は2つに大別される。
1つ目として、下顎の偏位は生じることなく、その原因歯(上顎左側犬歯)の病的な動揺や咬合痛、辺縁歯肉の炎症、セラミックのチッピングなどが生じる。2つ目としては、原因歯(上顎左側犬歯)に著明な症状の発現はなく、患者はこの早期接触部位を避けるように、従来の咬頭嵌合位直前で通常わすがに下顎を右側後方へ偏位させて嵌合するようになり(B)、右側顆頭は後上方へ押し込まれるように偏位することになる(C)。その際効果的に下顎を後方へ面位さ
せる役割を果たせるのは顎二腹筋後腹であり、同筋に圧痛の発現をみる場合が多い(D)。
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嚥下位(エンゲイ)
嚥下時の顎位で、国家試験的には、無歯顎者の咬合採得時に垂直的顎位、水平的顎位の両方の決定に用いられる。通常、嚥下位は正常有歯顎者では中心咬合位よりも0.5mm後方に位置する。実際には、咬合が安定している状態でないと適切な嚥下位が定まらないため、咬合採得に用いるのは困難である。
咬頭嵌合位で上顎歯が下顎歯に対して水平的に被蓋している関係。前歯部ではアンテリアガイダンスに関係する。オーバージェットが不足すると、咬傷の原因となる場合もある。水平被蓋とも。
オーバーバイト
咬頭嵌合位で上顎歯が下顎歯に対して垂直的に被蓋している関係。前歯部ではアンテリアガイダンスに関係する。垂直被蓋とも。
オーバーローテーションクリック
最大開口位における円板の後方転位。最大開口時にラクセーションが生じ、大きなリダクションクリックと共に自力で関節円板が復位し、閉口が可能。
オステオファイド
顎関節症Ⅳ型に認められる下顎頭の変形の一種で、下顎頭に出現する骨棘。
オルタードキャストテクニック
解剖学的印象により製作した模型の欠損部顎堤を、模型上で製作したメタルフレームを用いて機能印象を行い、模型を修正して義歯の機能時の適合を図る印象法。実際には適切な機能状態が再現できないため、本学会では推奨していない。
関節包の外に位置し、頬骨弓後方から起始し、下顎頭頸部外側と後綾部に停止する扇状の強靭な靭帯。
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ガイドプレーン
鉤歯側面に義歯の着脱方向と一致させて形成する面。義歯の隣接面板が接する部位で、一般に把持効果を期待する。本学会では、歯周組織の保全を図るため、クラスプの維持腕に拮抗する面をガイドプレーンに加えた設計を推奨している。
解剖学的印象(カイボウガクテキインショウ)
特に軟組織の可動部を極力静的な状態の、解剖学的形態を採得する印象を指す。無圧印象と同義語として用いられることが多い。
解剖学的人工歯(カイボウガクテキジンコウシ)
咬頭傾斜角が 30°の人工歯を指す。形態的に天然歯に近いため、審美性が良く、咀嚼能率が高い反面、偏心位での削合・咬合調整は煩雑であるとされている。本学会が研究開発に携わった、硬質レジン歯 e-Ha 8 臼歯 は解剖学的人工歯に分類される。
下顎安静位(カガクアンセイイ)
上体を起こした安静時の顎位を指す。中心咬合位のより2~3mm下方に位置するとされており、一般に咬合採得に利用されている。実際には再現性が低く、体位や頭位の影響を大きく受けるため、本学会ではこの下顎安静位を利用した咬合採得は推奨していない。
顎関節症(ガクカンセツショウ)
顎口腔系を構成する、咀嚼筋や顎関節における疼痛、雑音、開口障害を主要症状とする疾患名。
カスプトゥフォッサ
下顎の8つ、上顎の6つの全ての機能咬頭が相対する同名歯の窩に嵌合する1歯対1歯の咬合接触関係。咬頭対窩の関係。天然歯列では殆ど見られないが、歯冠修復する際には非常に有利な関係である。
カスプトゥリッジ
上顎では近心の、下顎では遠心の辺縁隆線部それぞれ4ヶ所全てに、相対する同名歯の機能咬頭が嵌合する1歯対2歯の咬合接触関係である。咬頭対辺縁隆線、咬頭対鼓形空隙。天然歯列で見られる殆どの関係はカスプトゥリッジである。
可動粘膜(カドウネンマク)
機能運動時に、筋などの動きによって変位、変形する部分の粘膜。顎堤の吸収した下顎では、歯槽頂部を除く殆どが可動粘膜となる。
チューリッヒ大学補綴学教授。軸学説(1929)及び咬合小面学説(1929)を発表し、フルバランスドオクルージョンを確立した。また、数多くの咬合器や人工歯を開発し、総合的な咬合理論を広く普及させた。
機械的人工歯(キカイテキジンコウシ)
いわゆるブレード形態の人工歯を指す。本学会が研究開発に携わった、硬質レジン歯 e-Ha Q クワトロブレードは上顎舌側咬頭がブレード形態となっており、機械的人工歯に分類される。
機能印象(キノウインショウ)
義歯の機能時と同様に、粘膜面に均等に圧力が加わった状態の印象や、床辺縁部を筋形成して動的状態を記録した印象を指す。
筋形成(キンケイセイ)
有床義歯の印象採得において、機能時の口腔粘膜の動的な状態をコンパウンドなどのフローの悪い印象材を用いて記録する印象方法。筋圧形成、辺縁形成とも。本学会では非常に簡便に行えて、臨床で有効な筋形成法を考案した。
筋の圧痛(キンノアッツウ)
顎口腔系の不調和による影響は、通常まず筋の圧痛として現れる。また、筋の疼痛の中で、圧痛に関しては顎機能検査を行うことにより初めて患者に認識してもらうことが多い。したがって、初診時に検査を行うことが、病態診断の目的と同時に病状を患者自身に認識してもらうためにも極めて大切である。本学会では、短時間で行えて臨床で有効な筋の触診法を考案した。
顎関節雑音の1つで、運動時にパキッ、カクッといった高い音がする。関節円板の転位を伴うために生じる場合や、関節円板と関節結節の間の過圧により生じる場合などがある。本学会の推奨するステレオステソスコープにより、詳細に診査することができる。
グループファンクション
側方運動時に作業側の複数の歯で誘導し、平衡側では離開する咬合様式。国家試験的には、有歯顎の理想咬合様式の1つとされている。本学会では、厳密な意味でのグループファンクションは顎機能と調和せず、力のコントロールが図れた安全で安定した咬合とは言えないため、推奨していない。
クローズドロック
非復位性関節円板前方転位のことをいう。開口時の疼痛、開口量の減少、下顎の患側への変位などが生じる。顆頭が陳旧性に移行すると、徐々に開口量は増加するが、最大開口時に顆頭が関節結節を越える位置まで滑走しない場合が殆どである。
歯の欠損状態による分類法の1つ。残存歯列に対する欠損部の位置関係、すなわち支台歯と義歯床との分布関係に基づき症例を4型に分類した。ClassⅣ以外は類型が存在する。この分類によって維持装置や連結子などの構成要素や特徴的な設計に配慮すべき点が異なってくる。
犬歯誘導(ケンシユウドウ)
側方運動時において、作業側犬歯によって下顎運動を誘導し、臼歯部を離開させる咬合様式をいう。本学会では、単に犬歯で誘導するのでは安全な咬合とは言えず、後方へのブレーシングイコライザーと前方へのブレーシングイコラーザーの必要性を強調している。
生体の上顎に対する下顎の位置関係を生体外で再現しするための装置。大きく上弓、下弓、顆頭球で構成され、それぞれ生体での上顎、下顎、顆頭に相当する。形態および機能的にさまざまに分類されるが,調節機能に基づいて顆路型咬合器、非顆路型咬合器に大別するのが最も一般的である。前者はさらに、平均値咬合器、半調節性咬合器、全調節性咬合器の 3 群に分類される。なお調節性咬合器は、顆路指導要素の位置の違いにより、アルコン型咬合器とコンダイラー型咬合器の 2 つに分類され、顆路指導要素の構造の違いにより、スロット型とボックス型の 2 つに分類される。
プロアーチ咬合器はアルコン型であり、顆路指導部にはツインプレート機構を有しており、スロット型とボックス型の要素を併せ持っている。
咬合紙(コウゴウシ)
咬合の診査に使用する色素が塗布された紙やフィルムを指す。厚さは 10~100 μm 、形状は短冊状、馬蹄状のものなど様々である。
本学会では全顎のHANEL Foil 12μm 片面 の使用を推奨している。
咬合性外傷(コウゴウセイガイショウ)
歯に咬合力が加わった際に、歯周組織の耐えられる限界を越えると生じる歯周組織の損傷。早期接触などの咬合の不調和により生じやすい。1次性咬合性外傷と2次性咬合性外傷がある。
咬合様式(コウゴウヨウシキ)
中心咬合位と偏心位における咬合接触状態をいう。
咬合彎曲(コウゴウワンキョク)
天然歯列において切縁や咬頭が接触する彎曲。義歯などに人工的に付与した彎曲は調節彎曲と呼び区別している。
咬頭干渉(コウトウカンショウ)
咬合の不調和の1つ。偏心運動時に干渉となり、円滑な機能運動を妨げる咬合接触。
後方へのブレーシングイコライザー(コウホウヘノブレーシングイコライザー)
これ以上後方へ下顎を押し込まないようにする、側方運動時のガイド。上顎犬歯舌面の近心にある前方に向いた面と、下顎犬歯の遠心に向いた面で誘導する。最低限この後方へのブレーシングイコライザーが必要で、前方へのブレーシングイコライザーと合わせて設定すると、より安全な咬合となる。
ゴシックアーチ描記法(ゴシックアーチビョウキホウ)
顎運動の記録法の 1 つで、前方運動、側方限界運動の軌跡を描記させ、水平的な顎位の決定や、チェックバイト記録の採得により顆路調節を行う。
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コンビネーション
前歯部人工歯形態の1つ。スクエアとテーパリングの中間的な形態で、近心の発育葉と遠心の発育葉の発達の差が中程度である。
顎関節にに負荷がかかり後上方に押し込まれると、関節円板と骨の間に介在して潤滑作用を持つ滑液が押し出されて排除される。この時、関節円板は吸盤のように骨面に吸着しており、開口しようとすると少し抵抗があり、「ピチッ」や「パキッ」といった音がする。この吸着した状態をサクションキャップエフェクトという。一度動き出すと、円板と骨の間に滑液が介在するため、しばらく音はしなくなる。
義歯などで天然歯の代わりに排列を行う歯で、一般的には、レジン歯、硬質レジン歯、陶歯が用いられる。本学会が研究、製品開発に携わった e-Ha シリーズは硬質レジン人工歯である。
診断用模型(シンダンヨウモケイ)
口腔内の診査、診断、治療計画の立案の資料として製作する模型。通常はアルジネートなどを使用した無圧印象で製作する。
前歯部人工歯形態の1つ。コーカソイドに多い形態で、近心の発育葉と遠心の発育葉の発達の差が小さい。
スプリットキャスト
模型基底部に付与する溝。これにより咬合器での模型の着脱が容易に行える。また、スロットタイプの半調節性咬合器の顆路調節に利用する。溝は、楔状の刻みを付ける方法や、既製のマウンティングプレートを用いる方法などがある。本学会では基底部をスタンプバーで削り込んで、楔状ではなく半円形のにすることを推奨している。
スプリント
適切な咬合接触を与えることで、下顎を適切な位置に誘導する装置。顎関節症の治療などに用いられる。骨折の整復固定などの口腔外科的なものや、動揺歯の固定に用いるものもスプリントに含まれる。
スマイリングライン
軽く笑ったときの下唇の彎曲を指す。上顎前歯の排列の際に参考にする。微笑線とも。
スマイルライン
咬合状態でしっかりと笑ったときの上唇と下唇の位置を指す。上下顎前歯部人工歯の排列の際に歯頚線の位置を決定するために参考にする。笑線とも。
これ以上前方へ下顎を出さないようにする、側方運動時のガイド。下顎を後方へ押し込む形になるので、顎関節に障害を起こしやすい。この前方へのブレーシングイコライザーは、後方へのブレーシングイコライザーと合わせて設定すると、安全な咬合となる。
全面均等加圧印象(ゼンメンキントウカアツインショウ)
本学会で推奨する欠損補綴における印象法の1つ。総義歯では下顎、部分床義歯では上下顎とも、加圧印象を行う必要がある。その際に、欠損部顎堤にスペーサー付与せずに製作した個人トレーを用いて、その内面にイソコンパウンドを敷き、機能時の加圧状態の記録を取る印象方法。
咬合の不調和の 1 つ。閉口時に、中心咬合位まで噛み込む前に一部の歯だけが咬合接触し、安定した閉口運動を妨げる咬合接触。
粘膜調整材などの長時間流動性を維持する印象材で、旧義歯をトレー代わりに用いて、咀嚼や発音などの日中の機能運動の状態を記録する印象法。実際には数日かけて印象するため内面の適合が不均等になりやすく、しかも弾力性があるため強く噛みしめた時にあたりが強くても力が分散して痛くない。また、小帯部の厚みなどは理想的な形態に仕上がらないなど、すべての症例でオールマイティーに使用できるわけではない。
顆路調節法の 1 つ。半調節性咬合器の顆路調節に用いられる。シリコン、ワックス、石膏などのチェックバイト記録材用い、上下の顎間関係を記録し、顆頭の運動の起始点と偏心運動時の顆頭点の間を直線的再現する。生体の顆頭運動経路において、中心位から8mmの領域は直線として扱って問題ないため、顆頭の移動量は5mmとするのがよいとされている。
中間域(チュウカンイキ)
下顎の限界運動の境界より内側の領域全てを指す。
中心咬合位(チュウシンコウゴウイ)
下顎頭の位置とは関係なく、上下顎の咬合面が最大面積で接触、または、咬頭嵌合したときの顎位。咬頭嵌合位と同義。一般に、正常有歯顎者では、下顎頭は下顎窩内で顆頭安定位にある。
2)下顎が中心位で咬合したときの顎位、前項のごとく、中心位の定義が不明確のため、本項の意味も多様となる。
エングラムが構築されて下顎を奥へ引いていると、顆頭にコンプレッションが加わる。このコンプレッションを取り除くことをディコンプレッションという。
ディスクルージョン
偏心運動の際に、ガイドしている前歯以外の臼歯に咬合接触がなく、離開する咬合様式。本学会では、安全な咬合構成のために後方歯ほどディスクルージョン量を大きく設定することを推奨している。
テーパリング
前歯部人工歯形態の1つ。モンゴロイドに多い形態で、近心の発育葉と遠心の発育葉の発達の差が大きい。
本学会が研究開発に携わったミリングデンチャーシステム。リジッドサポートと良好な予後成績を指す。
発育葉(ハツイクヨウ)
歯冠部の唇頬側面と舌側面の形態を構成する骨組みであり、歯冠の発育傾向を特徴的に示している。
Hanauの咬合の5要素(ハノウノコウゴウノゴヨウソ)
Hanau(1926)が総義歯でフルバランスドオクルージョンを構成する際に咬合平衡に関する次の5つの要素が一定の法則のもとに関連しあうとき、義歯は調和が図られ機能すると考え、5辺形に図示した。1.顆路傾斜度 2.切歯平面の傾斜度 3.切歯路の傾斜度 4.咬頭の高さ(傾斜度) 5.調節彎曲の程度
パラトグラム
特定の発音をする際に舌が口蓋に接触する範囲がほぼ一定の形となることから、上顎義歯の適切な口蓋形態を確認し、金属床のフィニッシュラインの決定にも用いられる。
バルクウィル角(バルクウィルカク)
咬合平面とボンウィル三角のなす角。平均は26°とされている。
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パントグラフ
全調節性咬合器の顆路調節を行う際に、下顎限界運動を3軸6面記録する口外描記方式の下顎運動解析装置。実際には、正確に顆路を再現することは困難であるため、本学会では推奨していない。
Fararrにより考案された、非復位性関節円板前方転位症例における徒手的関節円盤整復術。術者の親指を下顎臼歯部に置いて下顎を把持し、親指の先で力を加えて患側の顆頭を押し下げながら、前下内方に誘導する方法。実際には患部のダメージは大きく、奏効は難しい。本学会では、欠点を整理しなおして開発した、改良型マニピュレーションを推奨している。
フェイスボウ
頭蓋に対する上顎の位置関係を咬合器上で再現するために用いる器具。ボンウィル三角の再現、バルクウィル角、蝶番開閉口運動軸の再現、下顎開閉口路の再現、補綴物の早期接触の予防、下顎運動の再現性の向上、アンテリアガイダンス設定の目安が得られる、歯軸と被蓋の設定基準など、多くの効果がある。本学会ではプロアーチフェイスボウを推奨している。
フルバランスドオクルージョン
Gysiの軸学説と咬合小面学説に基づく咬合様式で、側方滑走運動時および前方滑走運動時に、作業側の歯だけでなく、前歯も含めた平衡側の歯も円滑に接触滑走している咬合様式。全部床義歯に望ましい咬合様式の 1 つとされる。
プログレッシブサイドシフト
イミディエイトサイドシフトがある場合、平衡側において横方向にイミディエイトサイドシフトした後に前下内方に移動する下顎運動を指す。
Lundeen は口腔外描記装置を用いて顎運動を計測し、プログレッシブサイドシフトは平均 7.5° で殆ど個人差がなかったと報告した。
しかし、これは口腔外で記録しているために顎運動経路は拡大して描記されており、また被験者ごとの経路の差が縮小されているため、実際の運動経路を計測しているわけではない。
プロアーチ咬合器のⅣ型にはイミディエイトサイドシフトの調節機構が備わっているため、こういった症例でも精度の良い顆路調節が可能となっている。
側方運動時における作業側顆頭の外側移動。運動の範囲には関しては個人差が大きく、3次元的に約 100°の範囲でバラツキがある。
ベネット角(ベネットカク)
側方運動時に水平面投影した平衡側顆頭運動経路が正中矢状面となす角度。プロアーチ咬合器では3E-G型以上に調節機構が備わっている。
関節円板の後方の厚みが大きい部分。円板を顆頭上に適切に位置づけ、円板の前方転位を防ぐとともに、骨の弱い部分への力の集中を防いでいる。後方肥厚部とも。
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ポッセルトフィギュア
切歯点における下顎限界運動範囲。バナナに似た菱形柱状をなす。この形態は主に歯列と、下顎運動を制御する3つの靭帯、すなわち外側靭帯、蝶下顎靭帯、茎突下顎靭帯によって規制され形作られている。
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ボンウィル三角(ボンウィルサンカク)
切歯点と左右の顆頭上面中央を結んだ線で構成される、一辺4インチ(10cm)の正三角形。
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天然歯列での理想咬合様式の1つとされる。中心咬合位では臼歯部が前歯部を保護し、前方運動では切歯が犬歯と臼歯を保護し、側方運動では犬歯が前歯と臼歯を保護する。
無圧印象材で採得した、圧力の加わっていない印象。解剖学的印象とも。
篩骨鶏冠付近を中心とする半径 4 インチの球面に下顎の切縁や咬頭頂が接触するという、モンソン球面説基づいた三次元的咬合湾曲。現在では否定されているが、歯列再建の基準としては非常に有効である。オクルーザルプレーンアナライザーで、歯列がこの基準に沿っているかを診断可能である。
歯冠の各軸側面の境をなす稜線。
舌側化咬合の総称として用いられる。歴史的には舌側化咬合であるPayne(1941) のModifide setup、Gerber(1960)のReduced occlusion、 Pound (1970)のLingualized Occlusionへと変巡してきた。近年多くの研究機関の報告により、義歯の安定性や食品破砕能などの機能性に関してリンガライズドオクルージョンがフルバランスドオクルージョンよりも遥かに優れていることが明らかになってる。本学会は関連機関と提携し、さらに無歯顎者に有利なリンガライズドオクルージョンの設定基準の確立を図ってきた。また本学会が研究・開発に携わった4歯連結硬質レジン人工歯 e-Ha Q クワトロブレードは作業効率が極めて高く、機能性、審美性、耐久性、経済性を兼ね備えている。
相反性のクリッキング。通常は復位性関節円板前方転位症例において、開口時にリダクションクリック、閉口時にラクセーションクリックが生じる。
レトロモラーパッド
下顎の最後臼歯の遠心部で、臼後腺などに富む被圧縮性の高い部位。加齢に伴う変化が少ないため、咬合平面の位置、高さなどの基準となる。また、下顎の下顎義歯の後縁設定の基準となる。顎堤の吸収が進むと、変形しやすくなるため、義歯の印象採得時には注意が必要。
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